機械加工001 切削と研削【超初心者】

機械加工
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 金属って硬いと穴も開かないし、削れもしないんですよ。でも硬くても加工ができる方法がいくつもあり、まずは加工初心者として切削と研削の違いを理解しないと始まらない。では、どうぞ。

1.ドリルって何でできているの? 

 金属加工って聞くと、ドリルでグルグルっと穴をあけるイメージがありますよね。でもドリルで加工できる鉄鋼の硬さって限りがあるんです。
「なんでか?」って言うと単純に加工する鉄鋼がドリルよりも硬いので穴が開かないのですよ。
そもそもドリルは、工具鋼と呼ばれる鉄鋼材料を使用しているため、工具鋼よりも硬い鉄鋼は加工ができないのです。もちろん工具鋼は炭素量が多く、熱処理もしているため一般的な鉄鋼よりは硬いのですが、同じように熱処理された鉄鋼材は加工できないです。
※ここがわからない方は以前の記事を振り返ってください。

 なのでドリルは鉄鋼でできており、ドリルの硬さよりも加工材料の方が硬い場合は加工ができない。
「じゃあ、そもそも硬い鉄鋼や工具鋼はどうやって加工するの?」って聞きたくなりますよね。これを加工できるのが鉄鋼よりも砥石になります。

2.砥石って?

 砥石は石でできています。石って河原でゴロゴロしているアレです。でもそのまんまの石ではなく、石を細かく砕いて、接着剤で焼き固めたもので、お茶碗やお皿などのような陶器と同じです。石は鉄鋼よりも硬いため、熱処理されて硬くなった鉄鋼でも加工ができるんです。
「じゃあ、砥石って最強じゃない?」これがそうでもないんですよ。
 石は落とすと割れますが、鉄鋼は落としても割れることはほとんどないのは、石は硬いけど脆(もろ)いからなんです。鉄鋼はある程度硬いのですが、延性と言って粘り気があるため、割れないんです。
さらに鉄鋼の硬さと延性は反比例の関係であるため、硬い鉄鋼は延性が小さく(粘り気がない)、やわらかい鉄鋼は延性が大きい(粘り気がある)のです。
 よってやわらかい鉄鋼を砥石で加工すると、鉄鋼の切りくずの延性が大きいために、硬すぎる砥石では「目詰まり」が発生し加工ができないことがあるんです。※目詰まりに関しては後日、別記事で解説します。
 そのため金属を加工する場合、加工する材料の硬さよりも少し高い硬さの工具を選定する必要があります。

3.切削と研削

切削と研削のちがい

 切削は「金属を刃物(金属)で削り取る事」研削は「金属を砥石ですこしずつ削り取る事」
上述した通りで、ドリルでの加工は切削加工になり、砥石での加工は研削加工になります。
切削加工は比較的粘り気がある柔らかい材料を加工するケースが多いため、切り込み量が大きくなります。切り込み量が大きくなることで沢山の体積を一度に取り去ることができるため、早く加工ができます。一方で大量の体積を一度に取り去ることで、加工面が粗れたり、寸法精度が一定でないことがおこります。
 逆に研削加工は比較的粘り気のない硬い材料を加工するケースが多いため、切り込み量が小さくなります。切り込み量が小さくなることで一度で取り去る体積が小さくなるために、加工が遅くなります。しかし、加工面の粗さは均一で、寸法精度が一定になるといったメリットがあります。

4.研磨

「研磨」おそらく聞いたことがあるとは思いますが、「研削」とはすこし違います。両者とも砥石を使用して加工することに違いはないのですが、研削は削り、研磨は磨くのです。つまり、研削をすると少量の切りくずが発生しますが、研磨は磨くため切りくずがほとんど発生しません。下図を見るとイメージしやすいと思いますが、研磨は凹凸の凸部の山の頂点をつぶすため、山が低くなり、凹凸が小さくなることで加工面が滑らかになります。

研削と研磨の違い

 研磨したものがピカピカになるのは凹凸の山谷が小さくなるからなんですね。しかし研磨する前の加工面が粗い(凹凸の山谷が大きい)と、いくら山の頂点が低くなっても凹凸が小さくなる度合いに限界があるのでいくら頑張って研磨をしても無駄なんですね。加工面をよりピカピカにするには徐々に凹凸を小さくする必要があるで、研削→研磨の順番で行うのが理想ですね。

5.まとめ

・切削加工はドリルなどの金属の工具で鉄鋼を加工する工法である。
・切削加工は加工速度が速いが、精度が悪い。
・研削加工は砥石で鉄鋼を加工する工法である。
・研削加工は加工速度が遅いが、精度が良い。

 金属加工は他にもプレス、放電、溶接…などたくさんありますが、まずは削ったり、穴を開けたりと材料から不必要な部分を取り除く切削と研削を説明しました。この二つの加工方法の違いを知る事で、必要な用途に応じて使い分けができます。この使い分けができないと余計な工程でモノづくりをすることになり、回り道確定です。ただしく使い分けできる知識を得る事で、理想的なモノづくりができると思えますよ。

以上です。

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