ものつくりをすると避けては通れないものが不良品です。不良品はゼロになるのが望ましいが現実的には難しいですね。またその不良品が工程内で発見されず、流出すると市場クレームとなり、不必要な手間やお金が必要となります。この不良品を削減することこそが、市場での商品価値を上げ、売れる商品になり得えますね。今回の記事ではこの不良品を削減するための原因調査について紹介したいと思います。
不良品をなくすにはその原因を特定する必要があります。
しかし、ほとんどの人は「現象」を原因として捉え、現象が無くなるような改善策を実行するため不良品がなかなか無くならないのです。
これって本当にあるあるなんです。本人は至って原因を特定したと思っていても、結果的に現象になっているんです。
「え!さっきから言っている「原因」と「現象」ってなにが違うの?」
辞書で調べると、、、、
原因:ある物事や、ある状態、変化を引き起こすもとになること
現象:自然界に形をとってあらわれるもの、人間の感覚で知覚できるもの、形となって表面にあらわれているもの。
違いがよくわかりませんね。 ひとつ具体的な例を挙げましょう。
あなたはねじ工場で働く従業員であったとしましょう。 お客さんが購入したM6のねじの中に1本だけM5のねじが混入していたという市場クレームが発生した。調査を進めると、この工場ではねじの外観を全数目視検査していた。不具合ロットの作業記録からM5ねじ検査の直後にM6ねじ検査をしており、検査台上に残存したM5ねじがM6ねじ検査の際に混入した。
この不具合の再発防止策を「ねじ検査前に検査台に残品が残っていないかを確認する」とすると、間違いなく同じクレームが再発します。なぜそうなるかと言うと、それは現象を原因として捉えているからです。この事例での不具合は「残存したM5ねじを発見しなかった」ことで発生しています。言い換えるとこの不具合の事象は「残存したM5ねじを発見しなかった」ことになります。では原因は何か?ですがこの事象がなぜ起こったかをを掘り下げる必要があります。
「なぜ、作業者はM5ねじを発見できなかったのか?」 ↓なぜ? 「残品を確認していなかった」 ↓なぜ? 「残品確認をしなければならないことを知っていたが忘れた」 ↓なぜ? 「途中で声を掛けられ、確認したかの記憶があいまいになった」
このなぜ?を繰り返した先にあるのが原因になります。つまり「M5ねじを発見できなかった」という現象を引き起こしたものは「途中で声を掛けられ、確認したかの記憶があいまいになった」ことになります。この「記憶があいまいになった」が原因です。この原因さえ、対策できれば不具合が再発することはありません。
この例での再発防止策としては「各ねじサイズの検査終了時に残品確認をしたら、記録紙に記録を残す」とすれば残品確認をしたかの記憶があいまいにならず、有効な対策になります。
どうでしょうか?これが「原因」と「現象」の違いです。
「なるほど!「現象」を対策しても違う現象でまた再発しそうですね。」
【まとめ】
現象は不具合が発生した状況を表しており、原因はその状況が何によって発生したかです。このように原因と現象のちがいが区別できていないと有効な再発防止策であるかを判断することができないのです。
以上です。
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