寸法許容差って数値で書いてあったり、アルファベットで書いてあったり、意味不明なんですけど?、、
寸法規格にはいろいろな名称があるけど、すべて覚える必要はないよ。h7とかM6とかの正体がわかればOK!
機械はいくつかの部品を組み合わせて作っています。特にシャフトやベアリングなどはボルトなどで固定するのではなく、製品同士の寸法の勘合で固定することが一般的です。この部品同士の勘合具合にはいろいろな種類があり、この種類を標準化したものが「はめあい」と呼ばれるものです。
また寸法交差を値ではなくH7とj6とか記号で表示しているものを見た事があると思います。この記号は、はめあいを理解するのに避けては通れないものです。今回は「はめあい」と「交差記号」について学びましょう。
1.寸法公差とは
1-1. 寸法規格の各名称と定義
寸法には基準寸法と交差(上限値と下限値)が組み合わさってできています。まずは名称を確認しましょう。基準寸法とはその名の通り、基準となる寸法なので、ここで言うところの「Φ50」です。
そして、最も大きい寸法すなわちプラスしている寸法許容差上限値は-0.009なので、[Φ49.991]、最も小さい寸法すなわちマイナスしている寸法許容差下限値は-0.025なので、[Φ49.975]となります。
この寸法許容差の上下限値の範囲を交差と言い、ここでは[0.016]となりますね。
1-2. IT公差とは
公差はその範囲が狭ければ、狭い程に求める精度が高く厳しいものになります。また基準寸法が大きくなればなるほどに交差範囲の占める割合が割合が小さくなるため、より精度がむずかしくなります。
例えば、Φ10 [-0.010~0]とΦ100 [-0.010~0]は交差は同じですが、その割合は[0.01/10=0.001=0.1%]、[0.01/100=0.0001=0.01%]と違います。そのため、公差が0.010で同じあってもΦ100の方が高精度であるため、精度等級が基準寸法によって変えないとならないのです。このように、基準寸法ごとに求める交差の精度等級を標準化したものをIT交差(Iso Tolerance)と呼んでいます。今回の例であるとφ50の公差0.016であるとIT公差[6等級]となります。
1-3.基礎となる寸法許容差
上述したように公差は規格の範囲を示しているだけに過ぎず、公差の位置はわかりません。下図でわかるように交差域の開始位置となる寸法許容差は軸では上限値(プラス)、穴では下限値(マイナス)となり、これが基礎となる寸法許容差(fundamental deviation)になります。この基礎となる寸法許容差を「穴は大文字アルファベット(A B C D…)」「軸は小文字アルファベット(a b c d…)」で識別され、よく目にする記号の正体がコレです。
1-4.公差クラス
これまでの説明で精度等級ごとの公差を値(IT公差)、公差の開始位置をアルファベットで表すことがわかりましたね。これらの数値とアルファベットを組み合わせたものが、みなさんがよく目にするH7とかm5とかよく言われるアレです。これを交差域クラスと言い、寸法許容差を記載する代わりにこれらの記号で表現するのです。今回の例ではφ50[-0.025~-0.009]で記載されたものとφ50m6と記載されたものは同じ意味となります。
2.はめあい
この部品の軸と穴にはそれぞれ寸法規格を設けなければ、このふたつの部品を組み合わせることはできません。部品を組みわせる際は使用用途に応じて「軸が抜けないように…」「軸がスムーズにスライドするように…」とさまざまで目的に合わせた規格の設定が必要です。このようにふたつの部品を組み合わせた時の勘合状態をはめあいと言い、その用途に応じて3種類のはめあいがあります。
すきまばめ:すべり軸受と軸のように、穴径よりも軸径を小さくして、すきまを与えて、軸が動けるようにする設定
中間ばめ:軸と軸継手のように、両者にわずかなすきま又はわずかな締め代を与えるようなはめあい。
しまりばめ:車輪と軸にように、穴径よりも軸径をプラスしてすきまがない状態にするようなはめあい。圧入や冷しばめ、焼きばめにて組立をする。
従来、軸に比べて穴の方が加工や測定の難易度が高いため、穴を基準としてはめあいを考えることが一般的でその加工難易度に合わせて穴の規格すなわち公差クラスを決め、それに応じたはめあいになるように軸の公差クラスをきめるのが理想的です。なお、加工難易度が低いのであれば、どちらを基準としても大差はありません。以下によく使用される穴H6、軸h6を基準としたは公差クラスの組合せを載せておきます。
以上
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